都立高校入試での平方根
都立高校入試の数学では、まず大問1の問3で必ず平方根の計算が出題されます。展開の計算が出題されることが多いですが、有理化なども出題されることがあります。いずれにせよ基本的な計算なので、落とさないようにしましょう。
また、大問5、立体図形では三平方の定理(ピタゴラスの定理)を使って解くことが多いので、その中で平方根の計算を使うことが普通です。せっかく考え方はあっていても計算で間違えたなんてことがないようにしましょう。
平方根で内申点対策
以上のように入試の本試験でも平方根は大事なのですが、意外と盲点なのが、平方根が3年生の数学の成績で大きなウェイトを占めるということです。平方根は多くの中学校で、内申点にはいる3年生の1学期の後半から2学期の最初にします。つまり、因数分解や二次方程式と並んで、1,2学期の試験で必ず出題されます。
さらに、二次方程式でも解に平方根が入ってくるため、都立入試の調査書でだいじな1,2学期の成績を決める大きな要素と言えます。
平方根は小学校レベルの計算ができれば計算できるようになる
そんなにだいじな平方根ですが、なんと文字を使った計算を理解していなくても解けるのです。一次方程式、一次関数、因数分解と文字式に悩まされてきた人でも、いったん文字式のことを忘れてほとんど小学生の算数の知識を使えば平方根の計算はできるようになります。
そんな内申点上も一発逆転の可能性を秘めた平方根。前置きが長くなりましたが、コツを説明したいと思います。
平方根とルート
平方根で出てくるルート、なんていかにも数学っぽい格好いい記号ですが、同時に、方程式を初めて習うときぐらいの不思議さ、わからなさがあるのではないでしょうか。
とくに最初に、何それ?どういうこと?って思うのが、平方根とルートは違うってところでしょう。4の平方根は、2の平方根はではなく、。何で2つは違うんだって話ですね。新しい概念・記号でわくわくしていた人、文字式を使わなくても解けると安心していた人も、ここでやる気をそがれてしまうかもしれません。
なぜ、こんなことになるのでしょうか。それは平方根が「2乗するとある数になる(もとの)数」という定義にあります。つまり、2乗するということは2回同じ数をかけるのですが、そのときに、マイナスを2回かけるとプラスになるという小学生の頃に悩んだあの規則が効いてくるのです。
平方根と無理数
ここは、ちょっと難しい話になるので、とばしてもらってもいいのですが、平方根が分かりにくいのに無理数という概念があります。って何だよ、1.41421356(ひとよひとよにひとみごろ)でいいじゃないか、いやいっそのこと1.4じゃなんでだめなんだって話ですが、無理数というのはそのように、何桁かでとまったり、0.9999999・・・のように同じ数がずっと続いたり(循環小数)する数ではなくて、いろんな数がある意味で不規則にずっと続く数なんですね。
なんだよそれ、そんな数字本当にあるのかよって思うのが普通ですが、代表的なのがあの円周率πです。円周率も3.14など大まかな値(近似値)をよく使用しますが、実際には3.1415926535・・・などと数字が循環しないで続く無理数です。
じゃあ、円周率もよく分からないけど、円は存在するのだからありそうだとして、はどうやったらあるということが納得できるのか。そのためには、中3でならう三平方の定理が関わってきます。
等しい二辺がそれぞれ1mの直角二等辺の斜辺を思い浮かべてください。三平方の定理を使うと、斜辺の長さはで、になることが分かります。つまり、コンパスで直角二等辺三角形を作図するとの長さが実在することが分かります。
それでは、無理数はルートや円周率みたいなとても特殊な数で限られた数しかないかというと実は、有理数よりもずっと多いのです。たとえていうと、世界中の人間が有理数だとすると、世界中のウィルスや細菌が無理数に相当するくらい、いや実際にはもっと差があるのです。
それくらい無理数というのはたくさんあるのです。おどろきですね。
平方根のひみつは2乗
ちょっとむずかしい話になりましたが、話を戻すとプラス・マイナスのややこしい話は平方根が2乗にまつわる数だということに由来しているのです。だから、2乗についてきちんと理解すればプラス・マイナスの問題もすっきり理解できるようになるのです。
そして、実は平方根にまつわるそのほかのややこしい問題、たとえば平方根の大小の問題、ある数をかけて自然数にする問題、有理化の問題もすべて2乗することによって解決するのです。
4の平方根は、2乗すると4になる数なので、2と-2の2つありますが、その理由はマイナスを2回かけるとプラスになるというあの規則に原因があるのですね。
まとめ
そのものを小数や分数などこれまで知っていたもので理解しようとしてもわけが分からなくなります。少数や分数でかけないからこそ新しい記号をつかっているのです。「2乗するとある数になるもとの数」と言われてもわけが分からないのは当然です。
だからこそ、2乗してみればいいのです。2乗すれば「ある数」つまりこれまで知っていた自然数や分数になるのです。素因数分解や有理化の問題も根本には2乗があるということを理解しておきましょう。